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フリーランス実務

請求書に源泉徴収を書く方法(記載例)

源泉徴収を請求書のどこに書くか、報酬・源泉・差引支払額をどの順で並べるかをまとめます。税率の計算表と手取りからの逆算は、源泉徴収の計算に任せます。

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わふ君

源泉徴収って、請求書のどこに書けばいいの?

ロボちゃん

先に結論を3行で言うね。その下の記載例で、行の順番を見て。

書く場所は、報酬と消費税等を分けたあとの内訳です。報酬、消費税等、請求合計、源泉徴収税額、差引支払額の順に並べます。

報酬と消費税等が別の行なら、源泉は消費税を足す前の報酬額で計算します。1行にまとまっているときは、消費税等を含めた金額が対象です。

源泉の1円未満は切り捨てます。どの取引にもこの行を足すわけではありません。対象になる支払いかは、計算の記事と国税庁のページで確認します。

先に見る記載例

金額は、国税庁 No.6929「消費税等と源泉所得税および復興特別所得税」の具体例と同じです。No.6929は税理士報酬の書き方で比べています。原稿料や講演料等も、国税庁 No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」の同じ注記で、請求書の区分によって対象額が決まります。下の行名は、その100,000円と10,000円を原稿料の請求書に置いた記載例です。

区分した請求書の記載例。差引支払額は、請求合計から源泉を引いた金額です。
順番行記載例金額
1報酬原稿料100,000円
2消費税等消費税等 10%10,000円
3請求合計報酬+消費税等110,000円
4源泉徴収税額100,000円×10.21%−10,210円
5差引支払額110,000円−10,210円99,790円

No.6929は、報酬100,000円と消費税等10,000円を区分したときの源泉徴収税額を10,210円と書いています。99,790円は、その請求合計から10,210円を引いた差引です。No.6929のページに、差引支払額という行名はありません。

送る前の確認は、次の4点です。

請求書を送る前のチェック
確認書くこと
報酬と消費税等別の行にします。区分していれば、源泉の対象は報酬額にして差し支えありません。
源泉徴収税額対象額に率を掛け、1円未満を切り捨てて、差し引く行にします。
差引支払額請求合計から源泉を引きます。ここは振込額の目安です。
対象の取引か原稿料・講演料等で、支払う側が源泉徴収する取引だけにこの行を足します。
わふ君

消費税の行に、源泉も足して1行にすれば短い?

ロボちゃん

混ぜないで。報酬の下に消費税、その下に源泉だよ。差引は最後だよ。

請求書のどこに書くか

明細の報酬を書いたあと、消費税等、請求合計、源泉徴収税額、差引支払額と続けます。源泉の行は、消費税額等の行の中へ入れません。差引支払額を、報酬の金額そのものにはしません。

適格請求書の記載事項は、別の一覧です。国税庁 No.6625「適格請求書等の記載事項」は、取引の相手方へ交付する請求書・納品書等について、次を挙げています。

  • 書類作成者の氏名または名称、および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した税込対価または税抜対価の額、および適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

源泉徴収税額と差引支払額は、この6項目とは別の行です。源泉の行を書いたことが、登録番号や取引年月日の記載に代わるわけではありません。支払う側が、差し引く額と振り込む額を読むための行です。

区分の効果は、適格請求書の必須項目とは別に決まっています。No.2795とNo.6929は、報酬・料金等の中に消費税等が含まれている場合、原則として消費税等を含めた金額が源泉の対象だと書いています。請求書等で報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されていれば、報酬・料金等の額だけを対象にして差し支えありません。インボイス制度の開始後も、この扱いは変わらない、と両ページに注記があります。

国税庁「インボイス制度開始後の報酬・料金等に対する源泉徴収」は、その請求書等が適格請求書である必要はない、と書いています。適格請求書発行事業者以外の請求書でも、報酬と消費税等が区分されていれば、報酬額だけを対象にして差し支えない、という扱いです。

わふ君

登録番号が無い請求書だと、区分しても意味がない?

ロボちゃん

源泉の対象額を報酬だけにする扱いには、適格請求書であることは要らないよ。行が分かれていれば、No.6929の注記の範囲だよ。

報酬・源泉・差引支払額

3つの行は、役割が違います。

  • 報酬は、源泉の対象になる金額です。区分した記載例では100,000円です。
  • 源泉徴収税額は、支払う側が差し引いて国へ納める税額です。区分した記載例では10,210円です。
  • 差引支払額は、請求合計から源泉を引いた振込額の目安です。区分した記載例では99,790円です。確定申告で納める所得税、住民税、社会保険料を引いたあとのお金ではありません。

区分しない書き方は、No.6929のもう一つの具体例です。請求書に110,000円とだけ書いてあるとき、源泉徴収税額は110,000円×10.21%=11,231円です。ページは、1円未満切捨てと書いています。この11,231円は割り切れているので、切り捨てで円は動きません。

同じ110,000円でも、区分の有無で源泉の行が変わります。
請求書の書き方源泉の対象源泉徴収税額差引支払額
原稿料100,000円と消費税等10,000円を区分100,000円10,210円99,790円
110,000円とだけ記載110,000円11,231円98,769円

差引の2つは、110,000円からそれぞれの源泉を引いた金額です。差は1,021円です。100万円を超えるときの率、手取りから本体を戻す計算は、源泉徴収の計算と手取りからの逆算に数値例があります。この記事では、率の表を繰り返しません。

Invoice & Tax Calc Proの請求書用テキストは、区分した請求を前提に、次の行名でコピーします。ボタンの操作は使い方の記事です。

【請求金額 内訳】
本体報酬額:100,000円
消費税額:10,000円(税抜+消費税10%)
請求合計額:110,000円
源泉徴収税額:−10,210円
差引振込額:99,790円

※報酬額と消費税額を区分して記載しています。

ツールの最後の行名は「差引振込額」です。紙の請求書で「差引支払額」と書いても、引き算は同じです。このブロックは、上のNo.6929の金額をその行名に置いた例であり、ツールの画面写真ではありません。端数の設定は切り捨てにすると、源泉の1円未満の扱いと揃います。切り上げや四捨五入にすると、いまのツールは源泉にも同じ設定を使うため、法定の切り捨てとはずれることがあります。

わふ君

差引の99,790円を、報酬の欄に書けば1行で済む?

ロボちゃん

報酬は100,000円のままだよ。99,790円は引いたあとの行。請求合計とも別だよ。

端数の扱い

源泉と消費税等では、端数のルールが別です。

源泉は、No.2795のとおり、求めた税額に1円未満の端数があるときは切り捨てます。No.6929の11,231円にも、「1円未満切捨て」と書かれています。記載例の10,210円と11,231円は、どちらも割り切れています。

端数が出る当てはめとして、報酬100,001円が源泉の対象なら、100,001円×10.21%=10,210.1021円です。1円未満を切り捨てると10,210円です。この100,001円は、No.2795の切り捨てを当てはめた計算であり、国税庁のページの具体例ではありません。

適格請求書に書く消費税額等の1円未満は、国税庁 No.6371「端数計算」のとおり、一の適格請求書につき税率ごとに1回処理します。切り上げ、切り捨て、四捨五入のいずれでもよく、個々の明細ごとに端数処理して合計することは認められません。記載例の消費税等10,000円は、100,000円×10%で端数がありません。消費税等の端数の選び方は、源泉の切り捨てとは別に決めます。

わふ君

消費税を四捨五入にしたら、源泉も四捨五入?

ロボちゃん

別だよ。源泉の1円未満は切り捨て。消費税額等は、請求書1通で税率ごとに1回だよ。

書くときと、書かないとき

この記載例の10.21%は、原稿料や講演料等についてNo.2795が掲載している計算です。すべてのフリーランスの請求書に、源泉の行が要るわけではありません。

国税庁 No.2792「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」では、支払を受ける者が居住者か内国法人かで、対象の範囲が違います。居住者については、原稿料や講演料などが対象の例です。内国法人については、ページ上の例は馬主である法人に支払う競馬の賞金です。一覧にない取引へ、原稿料の行をそのまま足さないでください。範囲の読み方は、計算の記事の確認にもまとめてあります。

差し引いて国に納める義務があるのは、支払う側です。国税庁 No.2502「源泉徴収義務者とは」は、会社や個人が、税理士・弁護士・司法書士などへ報酬を支払うときは、支払のたびに差し引く、と説明しています。同時に、給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う弁護士報酬などの報酬・料金は、源泉徴収をしなくてよい、とも書いています。例は、会社員が確定申告のために税理士へ報酬を払っても、源泉徴収は不要、というものです。

No.2795には、行を足さない別の例もあります。懸賞応募作品などの入選者に支払う賞金や、新聞・雑誌の投稿欄への謝金は、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下なら、源泉徴収をしなくてよいことになっています。報酬の支払者が、通常必要な範囲の旅費・宿泊費をホテルや旅行会社等へ直接支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてよい、とも書いています。

行を書くかの見分け。個別の取引の判定は、この表ではしません。
請求の状況請求書では
原稿料・講演料等で、支払う側が源泉徴収する報酬と消費税等を分け、源泉の行と差引支払額を書きます。
支払う側が源泉徴収をしない源泉の行と差引の行は足しません。消費税等の書き方は、その請求の区分に合わせます。
対象かどうかが分からない行を足す前に、支払う側へ確認します。判断は税務署または税理士です。

No.2795とNo.2502は、令和9年分以後は所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税を源泉徴収する、と書いています。確認した計算表の率は、10.21%と20.42%のままです。令和9年分の率はこの記事では計算していません。2027年の支払いは、計算の記事とNo.2795を見てから書いてください。

この記事は、行の並べ方の説明です。個別の取引が源泉徴収の対象かは判断しません。前提と違う請求へ、記載例の金額をそのまま写さないでください。

わふ君

個人のクライアントなら、この5行をいつも足す?

ロボちゃん

いつもではないよ。対象の取引だけ。No.2502の例では、会社員が税理士に払う報酬は源泉徴収が不要だよ。

よくある質問

源泉徴収の行は、適格請求書の必須記載事項ですか。

No.6625の適格請求書(請求書・納品書等)の記載事項は、作成者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した対価の額と適用税率、税率ごとに区分した消費税額等、交付を受ける事業者の氏名または名称です。源泉徴収税額と差引支払額は、この項目とは別の行として書きます。源泉の行は、登録番号などの記載の代わりにはなりません。

消費税を分けずに、110,000円とだけ書いた請求書でも源泉の行は置けますか。

置けます。No.6929では、110,000円とだけ書いた場合の源泉徴収税額は11,231円です。報酬100,000円と消費税等10,000円に分けると、源泉は10,210円です。同じ中身でも、区分の有無で1,021円違います。分けるときは、報酬の行と消費税等の行を別にしてください。

個人の取引先にも、必ず源泉の行を書きますか。

必ずではありません。No.2502では、給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う弁護士報酬などの報酬・料金は、源泉徴収をしなくてよいとされています。例として、会社員が確定申告のために税理士へ報酬を払う場合が書かれています。対象でない取引には、記載例の行を足さないでください。支払う側が源泉徴収する取引かは、見積もりの前に確認します。

まとめ

源泉の行は、報酬と消費税等を分けたあとに置きます。順は、報酬、消費税等、請求合計、源泉徴収税額、差引支払額です。

区分した請求書では、源泉の対象を報酬額にして差し支えありません。区分していない請求書では、対象は消費税等を含めた金額です。記載例では、100,000円×10.21%=10,210円、110,000円とだけのときは11,231円です。源泉の1円未満は切り捨てます。

行を足すのは、支払う側が源泉徴収する取引です。率の表と手取りからの逆算は、計算の記事で確認してください。

出典(2026年11月5日確認。タックスアンサー各ページの表記は令和8年4月1日現在法令等): No.6929 消費税等と源泉所得税および復興特別所得税、 No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき、 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは、 No.2502 源泉徴収義務者とは、 No.6371 端数計算、 No.6625 適格請求書等の記載事項、 インボイス制度開始後の報酬・料金等に対する源泉徴収。

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