フリーランスの源泉徴収の計算と手取りからの逆算
原稿料や講演料等について、報酬額から源泉徴収税を求める計算と、振り込まれたい金額から本体報酬を戻す逆算です。税率は国税庁の計算表に合わせ、消費税を足す順番も請求書の書き方で分けます。
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源泉徴収の対象になる支払金額が100万円以下なら、その全額に10.21%を掛けます。100万円を超える部分だけ20.42%で、100万円までの税額102,100円を足します。
請求書で報酬と消費税等が区分されていれば、源泉徴収は消費税を足す前の報酬額で計算します。区分がなければ、消費税込みの金額が対象です。
手取りから本体を戻すときは、100万円以下で消費税10%を区分する請求なら、本体の目安は手取り÷0.9979です。出した金額は、1円未満の切り捨てを入れて引き算で検算します。
100万円を超えたら、全部が20.42%になるの?
上の3行が結論だよ。高くなるのは100万円を超えた部分だけ。消費税を足すかは、請求書で区分しているかで先に決めよう。
ボタンの操作や、請求書に貼るテキストのコピーは、「手取り30万円欲しい」を逆算。Invoice & Tax Calc Proの使い方に任せます。この記事は計算式です。30万円の画面例はあちらのままにしてあります。
先に見る4つの数値
次の4つは、このあとの式で使う数値です。150万円の例と、11万円の消費税の例は、国税庁のページに載っている具体例です。20万円の例は、同じ10.21%の行を20万円に当てはめた計算です。いずれも1円未満の端数は出ていません。
| 見ること | 金額 | 計算 | 源泉徴収税額 |
|---|---|---|---|
| 100万円以下 | 200,000円 | 200,000円×10.21% | 20,420円 |
| 100万円超 | 1,500,000円 | (1,500,000円−100万円)×20.42%+102,100円 | 204,200円 |
| 消費税を区分しない | 110,000円とだけ記載 | 110,000円×10.21% | 11,231円 |
| 消費税を区分する | 報酬100,000円+消費税等10,000円 | 100,000円×10.21% | 10,210円 |
150万円の行は国税庁 No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」の具体例です。11万円の2行は国税庁 No.6929「消費税等と源泉所得税および復興特別所得税」の具体例です。どちらも、令和8年4月1日現在法令等のページを2026年11月5日に確認しました。
報酬額から源泉徴収税を計算する
No.2795の計算表は、支払金額(源泉徴収の対象となる金額)をAとして、次のとおりです。所得税と復興特別所得税を合わせた率として、10.21%と20.42%が掲載されています。
| 支払金額 A | 税額 |
|---|---|
| 100万円以下 | A×10.21% |
| 100万円超 | (A−100万円)×20.42%+102,100円 |
102,100円は、100万円×10.21%と同じ金額です。100万円を超えても、最初の100万円が20.42%に切り替わるのではありません。超えた部分だけ高い率になり、100万円までは10.21%のままです。求めた税額に1円未満の端数があるときは、切り捨てます。
報酬が200,000円で、その200,000円が源泉徴収の対象なら、200,000円×10.21%=20,420円です。割り切れるので、切り捨ては不要です。
ちょうど100万円も「100万円以下」の行です。1,000,000円×10.21%=102,100円。「超」の行は、100万円を1円でも超えた支払金額からです。
150万円は、国税庁の具体例と同じ手順です。
- 1,500,000円−1,000,000円=500,000円
- 500,000円×20.42%=102,100円
- 102,100円+102,100円=204,200円
源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税は204,200円、とNo.2795に書かれています。150万円全体に20.42%を掛けると306,300円になり、表の計算と合いません。
150万円なら、150万円全部に20.42%を掛けるの?
掛けないよ。100万円を引いた50万円だけ20.42%で、102,100円を足す。結果は204,200円だよ。
消費税を足す順番
No.2795とNo.6929は、同じ順番を書いています。報酬・料金等の中に消費税および地方消費税が含まれている場合、原則として、消費税等を含めた金額が源泉徴収の対象です。ただし、請求書等で報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されていれば、報酬・料金等の額だけを対象にして差し支えありません。インボイス制度の開始後も、この扱いは変わらない、と両ページに注記があります。No.6929は、適格請求書発行事業者以外の請求書でも、区分されていれば報酬額だけを対象にして差し支えない、としています。
No.6929の具体例は、税理士報酬の書き方で比べています。原稿料や講演料等も、No.2795の同じ注記でこの順番になります。
- 請求書に「税理士報酬110,000円」とだけ書いてあるとき、源泉徴収税額は110,000円×10.21%=11,231円です。
- 「税理士報酬100,000円、消費税等10,000円」と区分してあるとき、源泉徴収税額は100,000円×10.21%=10,210円です。
報酬の中身が同じでも、区分の有無で源泉徴収税が1,021円違います。先に消費税を足してから10.21%を掛けるのは、区分していないときの計算です。
原稿料200,000円に、標準税率10%の消費税20,000円を足す場合も、同じ順番です。200,000円×10%は割り切れるので、切り捨てでも四捨五入でも消費税は20,000円です。
| 請求書の書き方 | 源泉の対象 | 源泉徴収税 | 請求合計 | 差引の振込額 |
|---|---|---|---|---|
| 本体200,000円と消費税20,000円を区分 | 200,000円 | 20,420円 | 220,000円 | 199,580円 |
| 220,000円とだけ記載 | 220,000円 | 22,462円 | 220,000円 | 197,538円 |
220,000円×10.21%=22,462円です。区分したときとの差は2,042円です。
100万円の境界も、請求合計ではなく、源泉徴収の対象になる金額で見ます。本体1,000,000円と消費税100,000円を区分すると、請求合計は1,100,000円でも、対象は1,000,000円です。行は「100万円以下」なので、源泉徴収税は102,100円、振込額の目安は1,100,000円−102,100円=997,900円です。
同じ1,100,000円を区分せず、支払金額1,100,000円として計算すると、100万円を超える行になります。
- 1,100,000円−1,000,000円=100,000円
- 100,000円×20.42%=20,420円
- 20,420円+102,100円=122,520円
振込額の目安は1,100,000円−122,520円=977,480円です。請求合計が100万円を超えて見えても、区分した本体が100万円ちょうどなら、10.21%の行のままです。
適格請求書に書く消費税額等の1円未満は、国税庁 No.6371「端数計算」のとおり、請求書1通につき税率ごとに1回処理します。切り上げ、切り捨て、四捨五入のどれでもよく、明細ごとに端数処理して合計するのは認められません。この記事の数値例は切り捨てです。源泉徴収税の1円未満は、消費税の選び方とは別に、No.2795のとおり切り捨てです。
消費税を足したあとの金額に、10.21%を掛ければいい?
区分している請求書なら、足す前の報酬に掛けるよ。区分がなければ、消費税込みが対象だよ。
手取りから本体報酬を逆算する
この記事の「手取り」は、請求合計から源泉徴収税を引いた振込額の目安です。確定申告で納める所得税、住民税、社会保険料を引いたあとのお金ではありません。
100万円以下で、消費税10%を区分し、端数をいったん無視すると、次の関係になります。
- 手取り=本体+本体×0.10−本体×0.1021=本体×0.9979
- 本体の目安=手取り÷0.9979
手取り200,000円なら、200,000÷0.9979≒200,420.88円です。近くの金額を、消費税は切り捨て、源泉は1円未満切り捨てで検算します。200,420円×10.21%=20,462.882円なので、源泉は20,462円です。
| 本体報酬 | 消費税(切り捨て) | 源泉徴収税 | 請求合計 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 200,419円 | 20,041円 | 20,462円 | 220,460円 | 199,998円 |
| 200,420円 | 20,042円 | 20,462円 | 220,462円 | 200,000円 |
手取りがちょうど200,000円になるのは、本体200,420円です。200,419円×10%=20,041.9円は、切り捨てで20,041円になります。
本体が100万円を超えるときは、0.9979で割ってはいけません。超過分は20.42%です。端数を無視すると、源泉は本体×0.2042−102,100円、手取りは本体×0.8958+102,100円です。本体の目安は、(手取り−102,100円)÷0.8958です。
手取り1,200,000円なら、(1,200,000円−102,100円)÷0.8958≒1,225,608.39円です。切り捨てを入れて検算すると、ちょうど1,200,000円になるのは本体1,225,609円です。1,225,609円×10%=122,560.9円なので、消費税は122,560円です。源泉は148,169.3578円を切り捨てて148,169円です。
| 本体報酬 | 消費税(切り捨て) | 源泉徴収税 | 請求合計 | 手取り |
|---|---|---|---|---|
| 1,225,608円 | 122,560円 | 148,169円 | 1,348,168円 | 1,199,999円 |
| 1,225,609円 | 122,560円 | 148,169円 | 1,348,169円 | 1,200,000円 |
隣り合う2行で源泉の円は同じです。本体が1円増えた分だけ、手取りが1円増えています。目安の式で止めると、1円足りないことがあります。
消費税を足さない請求では、0.9979は使いません。100万円以下なら、手取り=本体×0.8979、本体の目安=手取り÷0.8979です。手取り200,000円の目安は約222,742円です。切り捨てを入れると、本体222,741円、源泉22,741円、手取り200,000円です。222,740円は源泉が同じ22,741円で、手取りは199,999円です。
Invoice & Tax Calc Proの初期の計算は、消費税10%を区分し、指定した手取り以上になる最小の請求額を出します。端数を切り捨てにすると、上の手取り200,000円は本体200,420円と一致します。切り上げや四捨五入にすると、いまのツールは源泉徴収税にも同じ設定を使うため、法定の切り捨てとはずれることがあります。通常の試算では切り捨てを選んでください。操作は使い方の記事で確認できます。
手取り20万円なら、20万円を0.9979で割れば終わり?
100万円以下で、消費税10%を区分するときの目安だよ。割ったあとは切り捨てて引き算しよう。100万円を超える本体や、消費税を足さない請求は、別の係数だよ。
計算の前に確認すること
この10.21%と20.42%は、原稿料や講演料等についてNo.2795が掲載している計算表です。すべてのフリーランスの請求に付く率ではありません。
国税庁 No.2792「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」では、支払を受ける者が居住者か内国法人かで、対象の範囲が違います。居住者については、原稿料や講演料などが対象の例です。内国法人については、ページ上の例は馬主である法人に支払う競馬の賞金です。謝礼、研究費、取材費、車代という名目でも、実態が報酬・料金等と同じなら対象になります。一覧にない取引へ、この表をそのまま当てはめないでください。
差し引いて国に納める義務があるのは、支払う側の源泉徴収義務者です。国税庁 No.2502「源泉徴収義務者とは」は、会社や個人が給与や、税理士・弁護士・司法書士などへの報酬を支払うときは、支払のたびに差し引く、と説明しています。同時に、給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う弁護士報酬などの報酬・料金は、源泉徴収をしなくてよい、とも書いています。例は、会社員が確定申告のために税理士へ報酬を払っても、源泉徴収は不要、というものです。受け取る側で必ず10.21%引かれる、という意味ではありません。
No.2795とNo.2502は、令和9年分以後は所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税を源泉徴収する、と書いています。確認したNo.2795の計算表は、10.21%と20.42%のままです。この記事は令和9年分の率を計算していません。2027年の支払いは、表が更新されていないかNo.2795を見てから使ってください。
数値例の消費税は標準税率10%です。No.6371は、飲食料品の譲渡について令和9年4月1日から令和11年3月31日まで税率が引き下げられる、と案内しています。原稿料や講演料等の数値例には入れていません。
支払者が源泉徴収する取引か、請求書の区分、端数の扱いが、この前提と違うときは、数値をそのまま請求額にしないでください。判断に迷うときは、税務署または税理士に確認してください。この記事は計算の説明であり、個別の税務判断ではありません。
よくある質問
100万円を1円でも超えたら、全額が20.42%ですか。
なりません。No.2795は、100万円以下なら全額×10.21%、100万円超なら(支払金額−100万円)×20.42%+102,100円です。ちょうど100万円は102,100円です。1円未満は切り捨てるので、超過が数円でも税額の円が動かないことがあります。超過4円×20.42%=0.8168円は切り捨てで増加がなく、税額は102,100円のままです。超過5円×20.42%=1.021円は切り捨てで1円増え、税額は102,101円です。
100万1円になった瞬間、税額が跳ねる?
跳ねないよ。増えるのは超えた部分の20.42%だけ。1円未満は切り捨てるから、数円の超過では円が動かないこともあるよ。
個人のクライアントでも、必ず源泉徴収されますか。
必ずではありません。No.2502では、給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う報酬・料金は、源泉徴収をしなくてよいとされています。会社員が税理士に自分の申告報酬を払う例が、そのページにあります。一方、会社や、給与の源泉徴収義務がある個人が原稿料などを払うときは、差し引く義務があります。見積もりの前に、支払う側が源泉徴収する取引かを確認してください。
「手取り30万円」の記事と、何が違いますか。
あちらは Invoice & Tax Calc Pro の使い方です。モードの切り替え、端数の設定、請求書用テキストのコピーを案内しています。この記事は、その画面の根拠になる計算です。どちらも「手取り」は振込額の目安で、確定申告後に残るお金ではありません。30万円の操作例を見たいときは、使い方の記事を開いてください。
まとめ
100万円以下は支払金額×10.21%、100万円を超える部分は20.42%に、100万円までの102,100円を足します。1円未満は切り捨てます。
消費税を区分した請求書なら、源泉はその報酬額に掛けます。区分がなければ、消費税込みの金額に掛けます。100万円の境界も、請求合計ではなく、源泉の対象になる金額で判定します。
手取りから戻す係数は、条件で変わります。100万円以下で消費税10%を区分するときは÷0.9979、100万円を超える本体では(手取り−102,100円)÷0.8958、消費税を足さないときは÷0.8979です。目安のあと、切り捨てで引き算してください。
出典(2026年11月5日確認。各ページの表記は令和8年4月1日現在法令等): No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき、 No.6929 消費税等と源泉所得税および復興特別所得税、 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは、 No.2502 源泉徴収義務者とは、 No.6371 端数計算。
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